病気の基礎知識

病気の基礎知識

インフルエンザとは?

毎年世界各地で大なり小なりインフルエンザの流行がみられます。
温帯地域より緯度の高い国々での流行は冬季にみられ、北半球では1~2月頃、南半球では7~8月頃が流行のピークとなります。
日本のインフルエンザの発生は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加し、4~5月にかけて減少していくパターンを示しますが、夏季に患者が発生し、インフルエンザウイルスが分離されることもあります。
流行の程度とピークの時期はその年によって異なります。

感染経路 : 飛沫感染
原因ウィルス : インフルエンザウイルスA、B
潜伏期 : 1~3日

 

インフルエンザの症状

発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザの経過で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いです。
高齢者や、年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者では、元の病気が悪化するともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており、入院や死亡の危険が増加します。
小児では中耳炎の合併、熱性痙攣や気管支喘息を誘発することがあります。

 

インフルエンザの治療

抗ウィルス剤としてノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)が近年使われるようになりました。対症療法としての解熱剤、ことにアスピリンは、ライ症侯群との関係が推測されており、小児への使用は原則禁止で、解熱剤が必要な場合は、なるべくアセトアミノフェンを使用します。

 

インフルエンザ脳症
近年、幼児を中心とした小児において、急激に悪化する急性脳症が増加することが明らかとなっています。厚生労働省「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」で行った調査によると、毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されており、その約10~30%が死亡しています。臨床経過や病理所見からは、ライ症候群とは区別される疾患と考えられますが、原因は不明です。
現在も詳細な調査が続けられています。
※インフルエンザは五類感染症定点把握疾患に定められており、全国約5,000カ所のインフルエンザ定点医療機関より毎週報告がなされています(当院も定点指定機関です)。
学校保健法による登園、登校基準
2012年4月の改正により、「解熱後2日」とそれに加え「発症後5日を経過するまで」が条件となりました。インフルエンザは2峰性の発熱(1度下がったのに次の日の夜また熱が出る)をすることがあるからです。